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アメリカ的とは何ぞや レナード・ペナリオ

Posted by ジュスマルダホス on 11.2006 極私的名盤   0 comments   0 trackback
往年の名盤で、未CD化のものをCD-Rにして販売するというrediscoveryというレーベルのサイトを久しぶりに見た。

http://www.rediscovery.us/

ここにはヴァンデルノート、デルヴォー、ディクソン、スタインバーグ父、グリューナー=ヘッゲなど、CD化にことごとく縁のない実力派マエストロ達がひしめき合っている。そしてありがたいことにサンプル演奏までつけてくれている。録音も生々しく、しかも活きのいい演奏ばかりだ。

久しぶりに見ると、ちょっとサイト構成が変わったようで、"Conductors"のほかに"performers"の文字が増えていた。オケだけではなくソロまで手を伸ばし始めたのか・・・早速見てみるとピアノばかりだが、これまた懐かしの演奏家ばかりが。ソンドラ・ビアンカ、ロリン・ホランダー、レナード・ペナリオ。こちらも私の興味をくすぐる演奏家ばかりだ。その中でも特に気になっていたのが、レナード・ペナリオ。私は彼の音を聞いたことはないのだが、私の中ではザ・”アメリカン”・ピアニストの位置づけにいる。

私がまだレコ芸を読みたての頃、この人のガーシュウィンがCD化された。そのときの評が、一言で言えば「通俗的で安っぽいピアノ」というものであった。その評者は一蹴したつもりだったんだろうが、私は「ガーシュウィンで通俗的に安っぽいなんて、最高じゃないか」と思ったものであった。どうやらそのときに「レナード・ペナリオ」という名を覚えたようである。結局そのディスクは九州の西の田舎じゃ見つけられずそのまま十数年が過ぎたが、本やネットでたまーに「ペナリオ」の名を見るたびに

「ゴキゲン」「ハリウッド」「ノーテンキ」「通俗的」「ノリノリ」「安っぽい」「底抜けに明るい」

と、似たようなことを書かれているのを目にすることになる。

これだけ意見が似かよるというのは、逆にすごいのではないか。絶対にこうとしか言えない彼の音をもっているのではないか。何を振ってもルーマニアンラプソディのシルヴェストリ、何を振ってもカーニバルのバティス、何を振ってもレズギンカのチェクナヴォリアンくらい揺るぎのない個性をもった人なのか。

私の頭の中ではペナリオの顔はレヴァイン風の顔(私の中の「ザ・アメリカン顔」)に設定され、全開のアメリカントーンに打ちのめされる日を今か今かと待っていた。

そんなときに出会ったrediscoveryのサンプル演奏。曲はカンパネラである。どんだけドンチャカゴキゲンに鳴らしているか、楽しみだ。アンドレ・ワッツなんか吹っ飛ぶかもしれない。
(ペナリオのカンパネラ全曲が聴けます)

http://web.mac.com/mkoldys/iWeb/ReDiscovery/ReDiscovery%20Podcast/F8032D50-9438-4A03-90E6-8E1C1214AD11.html


あれ?ころころとした瑞々しい音が涼しく鳴っているではないか。そうか、あとで派手におっぱじめるつもりやな。ハリウッドの常套手段で来るとは、さすがミスターアメリカンピアニスト。

・・・

・・・・・・

あれぇ??????!!!

最後まで思いっきり涼しげな上質のカンパネラでしたぜ。そうか、カンパネラだから涼しくしたのか。さっすがアメリカのショウマン!芸の幅が広いねえ。アメリカンカラー的には期待はずれだったけどフツーにいい演奏だったよ。・・・いや、フツーの演奏なんかじゃない。一見何の気ないが、どんなに激しても崩れない、隅々までコントロールの利いた素晴らしい演奏だった。これは只者じゃない。

そういや、興味を持ちながら検索をかけていなかった。

・・・

公式サイトがヒットした。
        

http://www.pennario.org/

1924年生まれだから今年(2006年)82歳。引退はしているようだが健在のようである。50-60年代に活躍した人のようである。なるほど、アメリカが未来を信じて疑わなかった一番前向きだった頃に活躍したピアニストね。その時代の人ならそういう評価がなされるのも肯ける。

ディスコグラフィのジャケがケバい。やはりすみからすみまで「アメリカン」である。

いろいろ見ているとディスコグラフィではなく、インフォメーションのところに2ページも試聴コーナーがある。よし、これでアメリカン・ピアニズムを思いっきり楽しむことにしよう。

http://www.pennario.org/Pages/Leonard-Pennario-MP3-Samples.html
http://www.pennario.org/Pages/Leonard-Pennario-MP3-Samples_pt2.html

最初にペナリオご本人作曲のMidnight on the Cliffsを試聴。
ハリウッド風ラフマニノフ。むしろコール・ポーター風リストかもしれん。「ラヴェル・イン・ハリウッド」でもいいかもしれん。じゃらじゃらとした分散和音がらしくって、ほっとした。
次に本人が「自分の最高の演奏」というラフマニノフ3番を試聴。

今度は粒立ちのいい、でもちょっと暗めのトーンだ。いきなり惹き込まれる。カンパネラのようにすっきりいくか、自作曲のようにじゃらじゃら盛り上がるか、ラフマニノフなら後者かな。そう思いながら聞き進める。それにしてもオケがうまい。ジュスキント(サスキンド)指揮フィルハーモニアか。なるほどうまいはずだ。恰幅がよくてほの暗い雰囲気がラフマニノフにぴったりである。サンプル演奏のため、途中でぷっつり切れてしまうのが残念だが、それでもペナリオの音楽はどんなものかよく分かる。

・・・結論から言うと、私のアメリカンな憧れはあっさり裏切られた。ノーテンキで安っぽいなんてとんでもない、ピアノもオケも芳醇でまろやか、でもなかなか内省的な深みを感じさせる名演ではないか。新天地の前向き感より亡命者の後ろ向き感のほうが勝っているではないか。

しかも滅法うまい。和音のクリアな響き、どんなに難しいパッセージでも流れがよどまない抜群の安定感。このよどみなく流れる音楽のツルリ感がアメリカ的なのかもしれない。強いて言えば、であるが。

こういいながら、私はルービンシュタインの音楽を思い出した。ペナリオとルービンシュタインはどうやら師弟関係ではなさそうだが、音楽の作りが似ている。ルービンシュタインがラフマニノフ3番を弾いたらこんな感じになったのではないだろうか。そんな懐の大きさがペナリオの音楽にはある。

20世紀前半の覇者がホロヴィッツとルービンシュタインの時代だったとすれば、20世紀後半はバイロン・ジャニスとレナード・ペナリオの時代になっていたかも・・・下世話な興味から入ったピアニストだったが、結局そんな想像をしてしまえるくらい素敵なピアニストに出会ったのは確かだ。

もうアメリカ的なんて、どうでもいい。ここには素晴らしい音楽を聞かせてくれるピアニストがいるだけだ。彼のディスクを見つけたら買ってみることにしよう。
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