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またしてもナクソスに心を読まれる ―クラッゲルードのシベリウス

Posted by ジュスマルダホス on 05.2006 極私的名盤   0 comments   0 trackback



シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調、セレナードト短調
シンディング:ヴァイオリン協奏曲第1番イ長調、ロマンスニ長調
ヘンニング・クラッゲルード(Vn.) ビャルテ・エンゲセト指揮 ボーンマス響

Naxos 8.557266


 3年ほど前、極私的百科全書のオケリンクがまだアメリカオケにまで手が回っていない頃、最後の砦を制覇すべく私は必死でアメリカオケのサイトの巡回をやっていた。当時からアメリカのオケサイトはやはり進んでおり、世界的に見たら当時そんなに多くなかった試聴コーナーが多かったのもやはりアメオケサイトだった。

 そんな中ノースダコタにあるビスマーク・マンダン響というオケの試聴コーナーでHenning Kraggerudというヴァイオリニストが弾くシベリウスの3楽章を偶然聞いた。ヴァイオリニストもオケも初耳だ。まあ地元の演奏家だろう。

 そのKraggerud氏の演奏は、ちょっと弾き飛ばしてしまって音程がふらつくところがあるけど、リズムの切れ味が鋭く、颯爽とした演奏だった。何よりも印象に残ったのは一流の演奏というわけではないのに、求心力がある、というところだった。激しくうまいわけじゃないのにこの深い印象はなんだろう、こんな演奏家がアメリカの地方にいるとはやはりアメリカは広いわ、そのうちナクソスとかアルテノヴァあたりからデビューしないかな、とか感心したり、薄い期待をしながらその演奏を聴いていた。

 いい演奏家じゃないか、そんなちょっとした充実感にひたりつつ、彼の名前もオケの名前も忘れてしまった。

 半年後くらいか、ナクソスニュースを見ていると、「ノルウェーの俊英、クラッゲルードがシベリウスとシンディングのコンチェルトを録音」という記事があった。クラッゲルード?・・・あっ、アメオケでシベリウス弾いてた人だ、と思い出した。

 またしてもだ。またしてもナクソスに心を読まれた。

 これはまあ私の勝手な妄想だが、ティントナーのブルックナー、ペトリ・サカリのシベリウス、シチェルバコフのラフマニノフ、ワイマールのリスト(これは最近ですが)など、この組み合わせで録音すればいいのにと思っていたものを悉く録音してくれたのだ。今度はまさかクラッゲルードとは・・・しかもノルウェーの人かいな。そりゃシベリウスを得意とするわけだ。

 録音が出ると、地味ながらいたるところで絶賛の嵐。プチ特集記事まで用意してくれたショップもあった。そんなにいいのか。

 そういうわけで全然近くはないけど、遠からぬ縁を感じたものでやはり私も買ってしまった。

 うーんなるほど。期待に違わない名演である。クラッゲルードの音のとり方は基本的にテヌート気味なのに弓の返しでたくみにアクセントをつけたりしてリズム感もあり、非常にヨコとタテのバランスがいい。滑らかで確実なボウイングと沸き立つリズムが完璧に融合している、とでも言ったらよいのだろうか。

 3年前試聴で聴いたときと明らかに違うのがテクニック。格段に上がっている。今回はリズムが跳ねても、強烈にアクセントをつけても決して音が雑にならない安定したテクニックを用意して勝負に挑んでいるのだ。ビスマーク・マンダンの試聴に比べてCDのほうが当然録音もよいわけだが、そのおかげでしっかり認識できたのが低音の太さ、豊かさである。高音もなかなか渋めのシルバートーンであり、男らしいヴァイオリンをたっぷり堪能することができる。

 そして何よりも心を打つのが、大らかで、自信たっぷりの身のこなしの中に顔を出す求心力である。太く厳しく、そしてカッコイイ。これこそまさにシベリウス。クラッゲルード万歳!

 ・・・と、恥ずかしげもなくクラッゲルードに萌えてしまったが、実は伴奏もかなりいい。ほしいときにほしい合いの手を入れてくれ、キメのところをバッチリ決めてくれるエンゲセトの手腕は見事なものである。これまでの演奏はどうもピンボケに聞こえるところがあり、まあシベリウスのスコアだし、ピンボケさせているのだろうと思っていたところもこの演奏は非常にクリアに演奏しており、初めて納得する箇所が多かった。それが如実に現れていたのが3楽章。リズム処理の巧さが際立っており、聞いていて心が躍る、メロディ裏のリズムが嫌味にならず聞こえるのが個人的にうれしい。ボーンマス響も初期のシベリウスに必要な北欧神話的鬱蒼感というか、ちょっとしたにごり気があり、曲との相性が非常にいい。

 シンディングのヴァイオリン協奏曲第1番も秘曲(現役盤はこれだけらしい)ながらなかなか印象的。冒頭からいきなり主題が出てくるが、これがブルッフのコンチェルト1番3楽章によく似ている。リズム中心のあの曲をもっと優美にして、1楽章にふさわしい内容の濃い曲に仕上げた感じである。2楽章は北欧神話的鬱蒼感たっぷりの短調バラードという感じ。曲のヤマがもう少し分かりやすければ一流のコンチェルトとして頻繁に演奏されるようになるだろうという思いを強く持つ佳曲である。もう少し聞き込んでみよう。

 というわけで今回もナクソスにやられてしまった。アンタらどれだけ人の好みをくすぐるねん。悔しいので今後も思いが通じるようにナクソスライブラリーに欠けている曲で、この人だったらいいなあというのを適当に書きなぐってみることにする。

・ジャン=クロード・カサドシュ指揮リール国立管のサン=サーンス交響曲全集。ルイ・ラングレ指揮リエージュフィルでもいいかな。
・上のコンビ+フィリップ・ビアンコーニのピアノでサン=サーンスのピアノ協奏曲全集。
・オンドジェイ・クカル指揮ブルノ国立フィルでドヴォジャーク交響曲全集。大穴でヤクブ・フルーシャ指揮でも面白いかも。働かされすぎて疲れた音のするスロヴァキアのオケは休ませて・・・
・ゾルターン・ペシュコーかタマーシュ・ヴァーシャーリ指揮でバルトークとコダーイ管弦楽曲集。
・アラン・ブリバエフ指揮カザフスタン国立響でボロディンの交響曲・管弦楽全集。働かされすぎて疲れた音のするモスクワ響は休ませて・・・
・パヴェル・コーガン指揮モスクワ国立響もしくはアレクサンドル・ヴェデルニコフ指揮ボリショイ響(今だったらやってくれそうな気が)でハチャトゥリアンの交響曲全集。
・ユーリ・シモノフ指揮モスクワフィルでチャイコフスキー交響曲、管弦楽曲集&バレエ全曲

まだまだありそうですが、この辺にしておいて・・・

*おまけ*

クラッゲルード/ビスマーク・マンダン響のシベコン
http://www.bismarckmandansymphony.org/bmso_online.htm
3年ぶりに探してみたら同じページと同じ音源がまだありました
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