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ポーランド謹製の重量型高性能ショパン――ドレフノフスキのショパン

Posted by ジュスマルダホス on 20.2014 極私的名盤   0 comments   0 trackback
昔書いたお蔵入り文章をもったいぶらずに出してみます。今回は2010年10月に書いていたもの(らしい)。


drewnowski_chopin.jpg

ショパン:ピアノ協奏曲第1番ホ短調、第2番ヘ短調
マレク・ドレフノフスキ(p.) アントニ・ヴィト指揮ポーランド国立放送響

Warner Apex 825646826049


ワーナーグループの廉価盤レーベルApexが、メジャーのくせにたまらなく面白い。テレフンケン、テルデック、エラート、フィンランディアの一軍二軍がどちゃどちゃと出てくる。このグループは発売してちょっと時間がたったら容赦なくこちらへ流れてくるのだ。この節操のなさがたまらなく面白い。デンオンのクレストシリーズにも似たようなにおいを感じるが、こちらの方がもっと雑多、というよりチョイスなしの風情を感じる。エルッキ・スヴェン・トゥールが、マティアス・ピンチャーがバッハとモーツァルトとベートーヴェンとともに音楽室の壁にいて、カラヤンとバーンスタインとともにエドゥアルト・リンデンベルクが20世紀の大指揮者の様相を呈している。そしてアンセルメとクリュイタンスはジョルダンとロンバールに置き換わり、ケンプの顔してユーラ・ギュラーがベートーヴェンを弾く、アシュケナージのショパンを見つけたら指揮者としてだった、そんな感じである。

ある日、私はApexのワゴンセールを見つけた。まあ、しょっちゅうワゴン落ちしているレーベルだが、今日は量が半端ではない。ワゴン2杯分Apex。早速狩りの準備。

うーん、たまらない。グリーグのピアノ協奏曲がデュシャーブルを差し置いてタッキーノ。2人の故郷フランスでもこのチョイスは度肝を抜けると思う。

そうこうしているうちにショパンのならびに。レオンスカヤ、カツァリス、フレイレ、リンパニー。この辺りはまとも。デュシャーブルとポミエがいるあたりにApex感を納得。じゃあ、次に見える協奏曲はピリスあたりかな・・・。

ドレフノフスキ。マレク・ドレフノフスキ。

・・・

ドレフノフスキ?

・・・

オケはアントニ・ヴィト指揮ポーランド国立放送響。そこは王道。しかし何度見てもピアノはドレフノフスキ。

drewnowski.jpgマレク・ドレフノフスキ(Marek Drewnowski:1946-)誰も知らんと思うけど、20年位前にウェーバーのピアノ協奏曲を出していた人である。幼少期の記憶だけは異常にいいもんだから、このあたりは覚えている。レコ芸の評価がいまいちだったのも覚えている。名前からして生粋のポーランド人。しかも今の知名度からして多分ポーランドのローカルピアニスト。

ポーランドローカルのショパン弾き・・・イメージとしては、まじめで打鍵が重厚で、基本的に一直線。時々ルバートで独特の粘り。一番洗練されている国際派長兄ツィマーマン、いつもは穏やかで冷静だが攻めるときは攻める姉ポブウォツカ。兄と同じくノーブルだがまだちょっと訛りの抜けない末弟ブレハッチ。そしてボスキャラの両親はチェルニー=ステファンスカとハラシェヴィチ。そのまわりでエキエル先生(2010年時点でご存命。御年97歳!追記:2014年8月15日に御年100歳でお亡くなりになったそうです)が大らか且つしかめっ面で兄弟の家庭教師をして(両親の家庭教師でもあったという設定がしっくり来る)、顧問弁護士としてパレチニが雄弁に弁舌をふるい、興奮しすぎて毎度はっちゃける。虎視眈々とその地位を狙う有能な部下はヤブウォンスキ。イケメンで繊細すぎて家を出て行ったけど、やっぱり故郷が好きでちょくちょく帰ってくる中兄はオレイニチャク。ちなみにママ友はスメンジャンカとヘッセ=ブコフスカ、時々グリフトウーヴナもお茶のみに来る。オリエントから中村紘子というお客さんが時々来る。ちなみに姉友はシェバノヴァあたりか。

こんな一族の親戚(という勝手な設定)だから芸風は大体想像がつく。でもApexの中でもチョイスが異常だし、伴奏はよさそうだし、790円でポーランドの田舎貴族、いや、Muza気分が味わえるのならと、ちょっと買ってみることにした。多分ハラシェヴィチをもっとドンくさくした感じで来るのだろう。

伴奏は当たり前のようにいいので省略。さあ、ピアノはどれだけごつごつポーランドして来るかな・・・

おっ、なかなか颯爽とした切り出し。音の重さも適度で煌びやかな潤いもある。あまり見栄を張らずに次へ。さらさらと進むけど適度にフレーズのアクセントが聞いているので、そんなに物足りない感じもしない。かといって、そうそうコレ!といったジャストフィットもしない。

・・・というよりこの人むちゃくちゃ上手いぞ。テクニックがあるのはもちろんのことだが、そのテクニックをまったく感じさせない余裕がある。すべてがよどみなく自然に次へつながる。これは凄い。しかも、まぎれもないショパンの音楽であるところがオールソン級に凄い。

とはいえ、音の重心が低く、大柄な音楽は新大陸のオールソン風ではなく、やはりポーランドの人っぽく、大柄で男くさい。特に左手の強さはパレチニに近い感じである。

・・・凄いなあと思いつつ、最終的に何かハマらないのはなぜだろうか。

どうも、音色にあまり変化がないかららしい。音のパレットを持っていないというより、意図的に同じ音で通しているようである。多分この音に相当な自信があるのだろう。タッチの変化みたいな女々しくて小賢しいテクニックはオレには必要ない、ショパン一筋50年、オレはこの音一つでショパンに勝負する、といった剛直な一本気を感じる。というより、「偉大なる一本調子全開」といった方がいいか(これ、褒めてますねんで)。やっぱりパレチニ、ハラシェヴィチ路線のにおいがしますなあ。

なので、どちらの曲とも2楽章はちょっと大味でゴツすぎるが、テクニックと煌びやかな音を最大限に開放した3楽章のがいい。特にコーダの飛ばし方がはっちゃけていて楽しい。ちなみに、1楽章はどちらもものすごく立派。時々スリリングに音楽を仕掛けてくるのだが、なんとも遊園地のアトラクションのごとく、「おっ、何やら仕掛けてきたな・・・でも、あの辺でちゃんともとに戻りそうだな」という感じで先が見えてしまう。安全と分かっていてもどう展開するかちょっと読めないサファリパークくらいはワクワク感はあった方がいいんじゃないだろうか。黄門様もびっくりの立派な予定調和に我々はただただひれ伏すしかない感じである。

そして、おまけのワルツの1、6、7番。ショパンは実は男気にあふれたマッチョな人だったんだぞといわんばかりの明快トーンかつインテンポ。特に6番のすっ飛ばし方は無茶に近い(1:40)。不健康なショパンばかり聞いてきた私にとっては逆に新鮮だった。とはいえ、こういう小品でちょっと大味なのがバレるんですなあ。やはり古傷がうずくような、繊細で不健康で毒気を含むのがショパンだと思うのだが・・・

良くも悪くも、「ポーランド謹製のショパン」だった。
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